STUDIO VOICE ONLINE FOCUS│Lillies and Remains スペシャルインタビュー

人をドキドキさせる音楽じゃなきゃ駄目

――(笑)。ものの考え方のひとつとして面白いと。

KENT:そうですね。あと僕、三島由紀夫がすごい好きで。『豊饒の海』という、最後主人公がどんどん輪廻転生していく話なんですけど。それが昔からすごい好きだったので。

――輪廻転生とか、たとえば“罰が当たる”とかっていう感覚は、現代の日常生活では忘れ去られているようなことですけど。

KENT:そう思いがちなんですけど、自然の摂理に沿うようなことはしないといけないな、というのは意識するようにしてますけどね。悪いこと=自然の摂理に反してること、くらいのイメージはずっともってますね。

――プロデューサーにmetalmouseを起用したことも驚きでしたが。

KENT:そもそも僕が大ファンだったんですよ。ダメもとでお願いして。

MINIRUイメージ

―― 一緒に作業してみてどうでしたか?

KENT:面白かったのは、僕はメタルの宅録出身なんで、どんどん音を重ねたがるんです。音が細いんであれば、もう1本トラック重ねたらいい、とか。彼はテクノ出身で、最小限、最小限にして曲を構成していく人なんで、そこでよくぶつかるんですよ。

――そこから得た新しい視点はどの曲に反映されていますか。

KENT:4、5曲目ですかね。シンセやオーケストレーションとかがメインになっているので。

――最近エレクトロの要素を取り入れたロックってたくさんありますが。

KENT:テクノと言っても、僕、あまり新しいのを知らないので。この2年間くらいミニマルテクノとかドラムンベース、環境音楽とかをメインで聴いていたので。そういうところでトレンドの音楽とは接点はないかなと。

――では、今回も自分の好きなものをマイペースに追及していったと。

KENT:そうですね。そこはあまり変わらないです。

――初のUKツアーから帰国されたばかりとのことですが、新曲に対する反応はどうでしたか?

KENT:3曲目の「a life as something transient」をやりましたね。比較的ウケが良くて。この曲は途中で最初の2倍回しの180(bpm)になっていくような曲で、ドラムンベースを軸に作っていて。イギリスは、反応がダイレクトでおもしろかったですね。
MINORU(Ba): MINORU(Ba):終わったら声をかけてくれたり。でもダメだな、っていうときはそれがなくて。すごくわかりやすいぶん、厳しいな、とも思いました。

――短期間で8か所回るというハードなツアーでしたが?

KENT:あまりライヴ経験のないバンドなんで、特に僕ですけど――。

――えっ? 結構やってますよね。

KENT:いや、ふつうのバンドマンからしたらすごい少ない方だと思いますね。そういう意味で、かなり厳しい現場で連続してライヴができたので。ライヴの醍醐味的な、深層を少しつかんだなあと。たとえば、楽曲の中でどこに強弱をつけるとか。そういうところを全然意識していなかったので。

KOSUKEイメージ

――ツアー中、トラブルなどは?

MINORU:ロンドンのスーパーで会計してたとき、そばにいた人が店員のスキをみて隣のレジに腕を突っ込んで……強盗をしだして。

――それは強烈な体験ですね……。滞在中気になったバンドはいましたか?

KENT:マンチェスターのHURTSですね。ライヴも観たんですけど、曲もほんとストライクで。

――あなたたちの音は一聴して独自の世界観を強く感じさせるものですが、自分たちはこうありたいと意識しているのはどんな部分ですか。

KENT:人をドキドキさせる音楽じゃないと駄目だな、と思っています。僕が好きだったバンドっていうのは、手を出しても届かないような、遠いところでやってる、得体の知れない、きれいなもの、という感じで捉えていたんですよ。そういう存在でいたいな、と。「お金がない」とか「あの女の子がかわいいから」とか、そういう日常の下世話なことを歌うんでなくて、もう少し深遠なところを歌って、という思いではいますね。

――ネオ・ゴシックと言われるようなムーヴメントがあって、シーンの一旦を担うバンドとも対バンしたりしていますが。自分たちはいわゆる“ゴス”だと思いますか。

KENT:……どうなんですかね。ゴシックっていうのは、ちょっと曲げられて解釈されている部分もあると思います。目の周りを黒くしないといけないとか、黒い服を着ないといけないとか、っていうイメージを持ちがちだと思うんですけど。そうではなくて、根本的なところでは、芸術至上主義っていうのがゴシックと僕は捉えているんで。そういう意味では、ゴスかもしれないです。でも別に目の周り黒くないですしね(笑)。

――お決まりの定型的な部分はさておき、本質的なところで“ゴシック”であると。

KENT:世間一般で言われているゴシックではないだろうな、と思うけど……本来、ゴシックだな、と思うようなところの人たちとはリンクしてるな、と思います。

――6月23日から全国ツアーですね。

KENT:去年の4〜5倍の回転率で動いているので、その成果を出します。

――鋭い客観性を備えつつ、好きなものに対してはどこまでも誠実であろうとする結果として、あの緻密な作品世界は生み出されているのだ。今回語ってくれたライヴに対する意識の変化は、このバンドにまた一つ大きな魅力をもたらすだろう。
(Text:Mikiko Kanou)

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Profile

Lillies and Remains イメージ

<Lillies and Remains>
KENT(Vo, Gt)
KAZUYA(Gt)
NARA MINORU(Ba)
KOUSUKE(Dr)

2006年、KENTが中心となり京都にて結成。 2008年5月にリリースしたデビューEP「Moralist S.S.」で日本人が今まで鳴らせなかったリアルなNew Wave〜Post Punkサウンドを見事なまでに鳴らし、コアな音楽リスナー、業界関係者を中心に強烈なインパクトを与え一気に話題となる。 2008年、KENTの上京を機に活動の拠点を東京へと移し、何度かのメンバーチェンジを経て現メンバーに。 彼らの楽曲は、エッジー且つ金属的なギターを核とした不敵なサウンドが特徴。そのキラーチューンの数々はどれも一瞬でその場の空気を変える圧倒的な存在感を放っている。 デビューEPから1年後の2009年6月には待望のフルアルバム「Part of Grace」をリリース。ダークで鋭い雰囲気の中にも垣間見られた天才的なPOP感覚をさらに高いレベルで披露し、その評価を確固たるものとした。 またSelfish Cunt, Neils Children, Project:KomakinoらUKアンダーグラウンドシーンの注目バンド達の来日ツアーをサポート。2010年5月にはThe Great Escape、Liverpool Sound Cityといった海外のフェスティバルにも参戦し、そのスタイリッシュな佇まいとクールかつアグレッシブなパフォーマンスでじわじわと人気を拡大している。

Release

MERU
NEW EP
「MERU」
2010.6.16 Out!
FIFO-0014/全6曲収録
\1,680 (Tax in)

「収録曲」
1. devaloka <リード曲>
2. human intellect
3. a life as something transient
4. tara part1 :the first realization
5. tara part2 :fear of the end
6. decline together

MOVIE

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