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TAHITI 80、10年選手の新たな第一歩

もうすぐ10年選手にもなろうとしているフレンチ・ギター・バンド、TAHITI 80からニュー・アルバム『アクティヴィティー・センター』が到着した。リード・トラック「All Around」がバンドのMySpaceページ上にアップされて以来、漏れ伝えられてきたようにその中身は、まずはライヴ・アレンジを念頭に置いた非常にギター・ロック/ポップ然としたもの。まるでデビューしたてのバンドのようにフレッシュさに満ち溢れているのも聴き逃せない。

「僕らはつねに、自分たちのやりたいように曲にアレンジを施す自由を持ったバンドだと自負しているんだけど。今回は特に、ライヴ感のある作品にしたいなって思いがすごく強くて。それをやるにあたり、インストゥルメンタルもとてもシンプルな、“グッド・ソングを作る”っていう部分に立ち戻る必要をすごく感じてね。だから『アクティヴィティー・センター』は、僕ら4人新たな気持ちでレコーディングに臨めたアルバムでもあるんだ」(グザヴィエ・ボワイエ、以下=X)

前作『フォスベリー』(2005年)リリース後、メンバー個々の活動により生じた“空白”も決して無駄ではなかったということか。その『フォスベリー』と異なる点として、今作は100%セルフ・プロデュースになっているのも挙げられるが。

「これまで3枚アルバムを作ってきて、その中で優秀なプロデューサーから多くのことを教わり僕らも成長できたから、そろそろ完全に独り立ちすべきだと思ってね。実は『フォスベリー』の時も70%くらいは自分たちでやって、残りの30%くらい、それこそ最後の味付けだけを外部プロデューサーの力を借りてやったんだけど、それなのに発売されたら外部プロデューサーのことばかりを取り上げられてね。だから自分たちだけでもやれることを証明したかったというのも大きいね」(X)

セルフ・プロデュースの賜物か、それともヒップホップ寄りのプロダクションにもトライした前作の反動か。原点に立ち戻ったバンドらしく今回、ギター・サウンドの探求にも余念がなかったようだ。

「今まで買いためてきたギターが本当にたくさんあるから、曲によって意識して使い分けたりもしたんだ。後、12弦のアコースティック・ギターにライトな弦を張って音を鳴らすとマンドリンみたいに聴こえたりするんだけど、そういったものにもトライしていて。だからギターの音色一つとっても、僕らがいかに新たな意欲を持ってアルバム作りに取り組んだかが伝わるんじゃないかな」(メデリック・ゴンティエ)

新たな意欲を持ってグッド・ソング、グッド・メロディを。この思いは偉大なる先人たちを髣髴させる、タイムレスな楽曲をも生み出す原動力となったことは想像するに容易い。

「『Ear To The Ground』とかを聴いてもらえれば分かってもらえると思うんだけど、まるでビーチ・ボーイズのような、3声のコーラスを採り入れていて。以前だったらそういう風にほかのバンドのように聴こえる曲を意識的に発表しないようにしてたんだけど、ちゃんと敬意を払い、トリビュートする気持ちを持って作る分には全然かまわないやって思えるようになったのも大きいんじゃないのかな。そこから何か自分たちで新しいものを作り出すことの方が大事なんじゃないのかなって」(X)

ちなみにタイトルの『アクティヴィティー・センター』とは、メンバー自身が子供の頃に慣れ親しんだベビー・シッター代わりの多機能オモチャのこと。このアルバムの持つ雰囲気や、出来上がるまでのスタジオでの過程を言い表した言葉だという。

「そのオモチャを目にすると自分の子供時代を今でも思い出したりして、一種のノスタルジアのようなものなんだけど……。スタジオって、一か所にアンプやらマイクやら色々な機材が詰め込まれていて、そこにはたくさんのアイデアや可能性が秘められている。だからなんか、(オモチャの)“アクティヴィティー・センターみたいだな”って思えたんだよね。(アルバムの)『アクティヴィティー・センター』の持つ楽しさ、遊び心もオモチャに共通しているし、実際に『Unpredictable』のように、楽器や音で遊んでいるうちに出来上がった曲も入っているからね」(X)

ワークショップ、またはドールハウスをイメージしたというジャケット。その中でメンバーの傍らに積み上げられた箱の中身とは? 扉の向こう側から覗く女の子(グザヴィエ曰く「セクシーさが欲しいなって思って前作のパンダに代わって女の子を登場させたんだ(笑)」)になりきって想像しながら、アルバムに耳を傾けてみるのも悪くないだろう。

(text by 山岸 睦郎)

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PROFILE

TAHITI80
TAHITI 80

2000年、デビュー・アルバム「パズル」をリリースし、たった1枚の作品によって世界中のポップス・スタンダードを塗り替えたTahiti80。今回で通算4枚目のスタジオ・アルバムとなる。リード曲「All Around」に代表されるような、ロック色が強くなった印象を受ける今作はTahiti80自身のセルフ・プロデュース作。アートワークは1stアルバムから手掛けている盟友ローラン・フェティスが担当。最後のツアー中に感じた感触から、今作は“ライヴ感”を大事にし3ヶ月というハイ・スピードのレコーディングで完成させた。

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