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チャーリー・カウフマンが自身初監督の映画『脳内ニューヨーク』について語る

チャーリー・カウフマンが自身初監督の映画『脳内ニューヨーク』について語る 今週末11月14日(土)より公開される映画『脳内ニューヨーク』で初めてメガフォンをとったチャーリー・カウフマンのロング・インタビューが届いた。

Q:初監督作品のこの映画が、日本で全国公開されることに対してどう思われますか?日本のマーケットはよくご存知ですか?

よく知っているとは言えないだろうが、でも...。この作品は初監督作品だが私が脚本を書いた映画なら日本で公開されているものはあるよ。

Q:監督作品としては、初めて日本で公開されるわけですよね。

ああ、初めて監督したのだから、とにかく監督作品としては日本での公開も初めてと言うことになるね。でも「エターナル・サンシャイン」とかは公開されているよ。その時のポスターも持っている。何て言ったらいいんだろうね。日本で公開されるのは嬉しいけど。だけど、はっきり言ってこの質問には答えようがないね。

Q:日本の文化についてご存知ですか?配給会社はこの映画を日本の観客がどのように見るかということに、とても関心があったと思いますが。

私には答えようがないよ。それは日本人に聞く質問だろう。私には分からない。アメリカ人がこの映画を見てどう感じたかすら分からないんだからね。日本人がどう思うかなんて予測がつかないよ。日本には行ったことがないんだ。

Q:行ったことはない?でも日本人の知り合いは大勢いますか?

そうでもない。数人、日本人の知り合いはいるけどね。
好きだよ。どうなんだろう? よく分からない。私は今回、脚本を書いて監督もし、作品が世界中に出て行ったわけだけど...。

つまり私にはトルコに行った友達がいるんだが、彼らが私の友達だと全く知らないトルコの人たちと映画の話をした。私のこれまでやってきたことを知っているトルコ人がいること自体、私には不思議な感じがする。何と言うか...。コメントのしようがないんだ。イスラエルの新聞とかマスメディアにインタビューされてユダヤ人であることを聞かれても困るしナンセンスだ。そりゃ日本で公開されるのは嬉しい。だけどその先のことを聞かれても分からないし、日本人にも気に入って貰いたいとは思うけど、それ以上は何とも言えない。何か言ったら間抜けな気がするんだ。

Q:スタッフや俳優はあなたとあなたの作品を脚本家としての場合と切り離して、監督としての場合は違う風に考えていると思われますか?

元々私は、他の多くの脚本家たちより口を出せる立場にいたと思う。
私の場合は型にはまらないというか、これまでも監督たちとは良い協力関係を築いてきたから、彼らも私を良き協力者として認めてくれている。
だが今回は監督だから、さらに好き勝手にできたのは確かだ。

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Q:今後も、また監督をしてみたいと思いましたか?あるいはこのゴージャスな邸宅で脚本を書いている方がいいですか?

監督の仕事は気に入っている。今回もいい経験になった。監督することは夢だったからね。大学の映画学科で勉強したし監督になりたいとずっと思っていたんだ。脚本を書く作業は世間と没交渉になり自分の世界にはまり込むが、監督は外に出て行って人々に指示をしてコミュニケーションを取る仕事だからね。 脚本家業と監督業を両方やるとバランスが取れるからいいよね。家で書いているととても閉鎖的で孤独で、時々悪夢を見てるような気がする時があるんだ。もしまた機会があったら監督してみたいと思っているよ。

Q:日本ではこの映画を評して、"これまでに経験したことのないもの"とか"まるで魔術を見てるようだ"とか言われていますが、それはあなたが最初から思い描いていたことですか?

この映画を見た人がそう言っているのかい?なるほど。私は人がどんな風に受け止めるかということは、いつも考えない。私は未知のことにチャレンジしているんだ。経験したことのないものをやっている。今まで観客が見たことのないものを見せようとした。結果、他の映画にはないものになっている。でもあれが私のクリエイティブなゴールではないんだ。私のゴールは、正直に描き出すことなんだ。自分の描こうとしているものや感情をそのまま描き出したり、テーマを発展させていくことに挑戦することだからね。

Q:なぜフィリップ・シーモア・ホフマンやキャスリーン・キーナーを選んだのですか?

もちろん優秀な俳優が全員この映画に出演しているとは言わないけれど、かなり出演しているし、私が選んだんだ。もっといい俳優がいたのではとか考えないね。私には分からないしね。私にとっては夢のようなキャストだからね。現場で監督を始めてすぐに彼らで正解だったと思ったよ。たぶん経験値で分かっていたんだと思う。ほとんどの役は私の言ったように演じてくれた。とにかくとてもすばらしかった。馴染みのある俳優もいれば全く初対面の俳優もいた。ほとんどが知らなかったな。そういう人々に演出をしていくのはかなりワクワクすることだった。みんな役にピッタリだったよ。中でもフィルは特にそうだ。彼以外にあの役は考えられない。

Q:この映画について観客に考えて欲しいことや期待すべきことなどを語りたくないと言っていましたが、この映画を通して伝えたい基本的なメッセージとかはありますか?あなたの人生経験からのメッセージあるいは、個人的ではないが伝えたいメッセージを映画に込めたりしましたか?

そうだね。自分の考えていることをできる限り伝えていきたいんだ。自分が生きている世界の問題に対する自分の考えを提示していくことは私にとっては重要なことなんだ。

自分に正直にそれをやっていくつもりだ。今回も契約では最初、ホラー映画を作ることになっていたんだ。そのためにソニーに脚本として雇われ、スパイク・ジョーンズが監督するはずだった。私たちはアイデアを検討し始めた時、ホラー映画の決まりごととは対照的な本当に怖いことを考えたかったんだ。それで考えてみた。死ぬということ、病気、時の経過や後悔や恐れについて。病気と言ったが、病気の恐怖や未知のものへの恐怖。すべてが私の考える恐怖だった。このすべてを何らかの形に描いてやってみたかったんだ。

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Q:スパイク・ジョーンズとはいい関係を築いているのですか?

いいよ!彼と一緒に仕事をすることは好きだね。

Q::彼からどんなことを学びました?

さっきも言ったように脚本家としては珍しいほど私はスパイクといい共同関係にある。

それだけでなく私と考え方が似ていて思考を同じくする人間なんだ。すべての点で意見が一致するわけではないが同じような視点からものごとを発展させ関係を築こうとするところがあるね。私が脚本を書き、スパイクが監督したことが2回あった。

「マルコヴィッチの穴」も「アダプテーション」も、私が脚本を書いていた時はスパイクは監督候補ではなかった。ところが結果的に彼が監督することになった。2人で脚本を見直した時の会話は"なぜこの人物はこう言うのか?"とか "これはどういう意味だ?"とか"彼らはどうしてやるのか?"とか"どういうことになるのか?"とかそういうことばかりだった。キャラクターの感情とか視点とか扱いとか、そういったことを話していたよ。

"こうやったらカッコいい"とか、そういう会話はしなかった。すべて本物の感情を表すことを目指しての会話ばかりだったね。脚本家としてそれ以上のことを監督に求めることはできなかったしね。

Q:もし間違っていたらそう言ってくださいね。あなたはその2作品で、脚本家として参加しながら彼のやっていることを自分がこれからやるんだという思いで見ていたのではありませんか?彼がやっていることを学ぼうとしていたのではありませんか?

それは違うな。私は全体を見ていたんだ。もちろん多くを学んだよ。スパイクとは友達だから彼の仕事、それに私の仕事についてはよく話をするさ。確かに...、ミッシェル・ゴンドリーからも私は多くを学んだと思う。だが、スパイクを見てテクニックを学ぼうということはしてないよ。まずスパイクと私は別々の人間だし性格もお互いに違う。すぐに気づいたことは、一番いいのは、私は私なりの演出をすればいいということ。スパイクのやり方でやるのではなくね。ミシェルのやり方でもなくね。これは誰にでも言えることだと思う。自分をよく見つめてどうやって人と関わっていくかを考えて仕事をするのが一番いい方法だ。

Q:この映画は複雑で30本撮ったベテラン監督にとっても難しい作品だと思います。あなたにとって初めての映画でやることが沢山あったりするわけですし、さまざまな課題があったと思うのですが、どうやって撮り続けていったのですか?

テーマもテクニカルな面でもとても難題だった。どうやって続けたかかい?演出は特に切羽詰まった中で進めていったよ。45日間の猶予しかなかったからね。これはとても普通はできる日数じゃない。結果的にできたけど、でも撮影中は無理だと言われ続けていたよ。もうただやるしかなくて片足を恐る恐る出して心血を注いで進んで行ったんだ。だが、とてもいい訓練になった。私はいろんなことを思い描いて心配する方だから、時間がなくて心配している暇がなかった。

Q:45日しか撮影期間がなかったというのは予算の関係からですか?

そうだね。撮影が1日増えるごとに高くつく。撮影に関わる人たちの人件費でね。

Q:倉庫の中にニューヨークの街を作ることは大変だったのではないですか? 人から言われませんか?

私が喜ぶので、みんなそう言ってくれるよ。少ない予算でよく作ったと思うね。ブルックリンの倉庫にニューヨークの街の一部を作ったんだ。半分は本当に作って、残りはコンピュータで作った特殊効果だ。倉庫の内部をコンピュータで作るデザイナーたちと一緒に作った。そこに実際に撮った本物のニューヨークを取り込んだ。実際には空が上にあるんだが、私達は動く天井を設置して調整が効くようにした。照明を変えたりして空模様を変えられるようにした。あれはとても効果的で満足している。

Q:とても有効でしたね。カンヌの大画面で見ても気づきませんでした。デジタル処理をしているとは感じさせませんでしたよ。

よかった。

Q:話を聞いて驚いています。

考えた結果、あの方法でやるしかなかった。特に最後のシーンはね。フィルが歩いている所を上の方から大きく撮ったシーンだが街全体が見えて...、あんなのは誰にも作ることはできない。私たちだけだ。マーク・ラッセルという視覚効果のスーパーバイザーがすべてを請け負ってくれた。私たちはあらゆる人の力を借りたよ。ニューヨークにいる人間やインドにいる人間やアニメーションを学ぶ学生などに作ってもらった。予算がないからね。利用できるものは何でも利用しようと考えたんだ。どのくらいの数の特殊効果のカットを使ったか分からないけれど、かなりの数のカットを撮ったよ。君は気づいてないかもしれないが、街が見えて隅に小さな空が見える。あれは特殊効果でしか作れないものだよ。

Q:全然気づきませんでした。たぶん映画に没頭していたんですね。

気づかないのはいいことだよ。

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Q:結果的にこの映画はあなたの作りたかった作品になっていますか?予算をやりくりし、キャスティングし、スパイクが製作。結果的にできた映画はあなたから見て自分の作りたかったものに近い作品になっていますか? どんな作品を望んでいたんですか?

前に2つのことを君は聞いたと思うが、カメラの回ってないところだったかもしれない。

これは私が話したことのある、この仕事で食べている人間誰にでも言えることだが、ひとたび映画製作を始めたら "判断できない"んだよ。深く関わり過ぎると主観的になるから、もう客観的に見られない。ショットのことから様々な問題に到るまで知りすぎているからね。知りすぎているから見えなくなるというのが1つだ。

もう1つの答えは、映画製作に入ったら、受け入れざるを得ないことなんだが、すでに作品は自分の作ったものではなくなる。多くの人が関わって作っていくものだからね。脚本を書いている時はキャストさえ考えないで書いているが当然キャストが決まれば、またいろいろ実際に変わってくるし、一から変えなければならないことも出てくる。そうやって撮っていくうちに他の映画の時にも同じことを聞かれたことがあるが、何が最初の構想だったの分からなくなるんだ。

この映画を作れて幸せだし誇りに思っている。誠実さに溢れた作品に出来上がっているからね。これが私の感じてることだ。私の創造する世界はとても稀有なものだが、みんなで作ることができた。そしてみんなの思いを反映し真面目に作り、今存在している。観客の中には影響を受ける人もいるだろうし嫌悪する人もいるだろう。映画はそんなもんだ。好きか嫌いか、どっちかだ。

私はこの映画を誇りに思う。でもこの映画がどんなものかということは分からない。
十年後に新鮮な目で見ることができるようになって、そして何か考えられるようになっているかもしれないがね。

Q:あなたが関わっている新しい作品のテーマやコンセプトはもうあるのですか?

ああ、今書いているのは私のこれまでの脚本の中で一番書きづらいものだ。
あまりに長いこと書いているので今もがいている段階だ。だが取り組んでいる。

Q:複雑なものなのですか? 壮大な物語とかですか?

複雑で壮大でこれまでとは違う物語だよ。違う雰囲気のもので、「脳内ニューヨーク」もコメディではあるけど次作はもっとコメディ要素が強い。そうなる予定なんだ。

Q:監督もしていて、別の脚本も書いているのですか?

ああ、それを実は心配していた。最初は私も書きたくなかった。脚本を書いている時に映画製作の現実的な問題を考えたくなかった。でもそこから生まれてくるものは、いいものだとも思う。監督をしながらいつも視覚的な刺激を受けているので脚本を書いている時も映像が頭に浮かぶんだ。

だから脚本を書きながら映画の視覚的構想をさらに考えている。書いている時に形作っているんだ。これはある意味、面白いと思うね。

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『脳内ニューヨーク』
監督・脚本・製作:チャーリー・カウフマン
製作:スパイク・ジョーンズ
出演:
フィリップ・シーモア・ホフマン
ミシェル・ウィリアムズ
サマンサ・モートン
キャスリーン・キーナー
エミリー・ワトソン
カフェ・コラボレーション
2009年11月14日(土)から渋谷シネマライズほか、全国ロードショー

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『脳内ニューヨーク』

 
 
 
 

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